青空文庫をたしなむ② 六の宮の姫君

懸賞 2011年 09月 08日 懸賞

青空文庫のつづき。

芥川龍之介
「六の宮の姫君」

古い宮家に生まれた姫君は両親に溺愛されて育ちましたが、
両親は昔堅気で、積極的に姫の結婚を考えてくれませんでした。
父もそれほど出世をしませんでした。
その父が突然この世を去り、母も後を追って行きました。

一人残された姫はどうすることも出来ません。
乳母が懸命に支えてくれましたが、次第に使用人も去り、調度もなくなっていきました。
それでも姫はただ琴を弾き歌を詠んで暮らしていました。

乳母が受領の息子との縁談をもって来ます。
姫は生活のために男に身を任せる不幸を嘆きますが、受け入れます。

通ってくる男のおかげで生活はよくなりましたが、姫はすこしも男を愛していませんでした。

男の父が陸奥の守に任ぜられたので、男は父とともに陸奥の国に行かなくてはならなくなりました。
父には姫のことを内緒にしているので、一緒に連れて行くことはできません。
男は、5年たったら帰ってくると言って去っていきます。

男に去られた姫の生活はまた困窮します。
乳母はまた別の男との縁談を持ってきますが、姫は「唯静かに老い朽ちたい。」と受け入れません。

8年後、男が帰ってきて六の宮に行きますが、屋敷は朽ち果て、姫はいません。
やっと見つけた姫は痩せこけて破れ筵をまとい、死にかけていました。

姫は臨終の念仏さえ心から念じることができず、世を去ります。

朱雀門に女の声が聞こえます。
極楽にも地獄にも行けない、中半端な姫の魂です。


六の宮の姫は徹底的に受け身です。
すべての現実から目をそらし続け、何かを強く願うこともしません。
乳母が必死で姫を支えても感謝すらしません。
平安時代の宮家の姫なのだから、当たり前かもしれません。
極端に走った平安貴族の美学の具現が六の宮の姫のような気がします。
もはや生物としての命の輝きはなく、滅びるしかない姿です。
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by hamhaha | 2011-09-08 00:00 | たわごと | Trackback | Comments(4)

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Commented by ろき at 2011-09-08 04:56 x
生命保険も生活保護もない時代、父や夫が亡くなるとあっという間に困窮する女性は珍しくないですね。
それにしてもこの姫は生きる気力なさすぎ。
すべて人まかせに育つとこうなっちゃうのでしょうか。
乳母さん、骨折り損でしたね。
Commented by hamhaha at 2011-09-08 06:54
ろきさん、こっちもおはようさんです。
あの当時の女性は男次第でしたからねぇ。
何もかもすべて人がしてくれると
人として生きるための何かが欠落しちゃうんですね。
両親もかわいがるだけ可愛がって後のことを考えないのはダメよ。
乳母にも感謝はしてほしかったわ。

源氏物語の末摘花も落ちぶれた宮家の姫でしたが
末摘花のほうが前向きでたくましいですよね。
Commented by ぷくたま at 2011-09-09 15:11 x
往復10時間の長旅お疲れさまでした。
青空文庫で時間つぶし・・・ナイスアイディアですね。

六の宮の姫君の話は、ワタクシ漫画で知りました(^^;
お姫さま、「唯静かに老い朽ちたい」という願いは半分叶ったのだからいいのかもね。
一応、静かに朽ちたから・・・(^^;
Commented by hamhaha at 2011-09-09 23:50
ぷくたまさん、こんばんは。
本当はDVDを見ようと思ったのですが
ディスクを忘れました。オーマイガッ!
ありがとう、青空文庫。

漫画もあるんですね。作者はどなたかな~?

姫は静かに朽ちましたけれども、
まだ「老い」ではないですね。
「老いる」のも大変なのよね。
老いるまで何らかの手段で生きなくちゃならないから。
老いるまで頑張って生きるぞ~という人じゃないと老いることもできないんですよね。

がんばって老いるぞ~!(byはむはは)
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