オレンジと太陽

懸賞 2012年 07月 18日 懸賞

随分以前に、テレビでドキュメンタリーを見ました。
それは英国の児童移民のドキュメンタリーで、
植民地の「英国人」の人口を増やすために、
施設に入れられた子供たちを強制的にオーストラリアに送ったというものでした。
内容はもう覚えていないのですが、
金髪の女性が感情を抑えきれずに泣いていたのが強く印象に残りました。

その「児童移民」をテーマにした映画「オレンジと太陽」を見ました。
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1986年、イギリスのソーシャルワーカーのマーガレットは、ある日、オーストラリアから来た女性に
「私が誰なのか知りたい」と言われます。
その女性シャーロットは4歳の時、ノッティンガムの施設からたくさんの子供たちとともに船に載せられ、オーストラリアに送られたのです。
「養父母なしに子供たちだけの移民なんてありえない」と最初は信じないマーガレットですが
他にも子供たちだけで移民した体験を持つ人がわかり、マーガレットはその人たちのことを調べてゆきます。

親に事情があって施設に預けられていた子供たちも、「親は死んだ」と言い聞かされ、親には「よいところに養子に行った」とうそを言い、
何十万人もの子供たちがオーストラリアなどに送られ続けていたのです。
それはなぜか一般の人々は知らないことでした。

オーストラリアの新聞で児童移民の人々に向けた広告を出すと、たくさんの人々から反応があります。
皆、自分が誰なのか家族はいるのかを知りたがっていました。
マーガレットは「児童移民トラスト」を立ち上げ、児童移民だった人々のルーツ探しの手助けをし始めます。

オーストラリアに子供たちを送ったのは、英国政府、慈善団体、キリスト教団体でした。
オーストラリアに送られた子供たちは孤児院に入れられ、
子供なのに学校にもろくに通わせてもらえず、過酷な労働をさせられます。

著名な慈善団体やキリスト教団体の過去を暴くことになってしまったので
マーガレットはうそつき呼ばわりされたり、暴漢に襲われたりしますが
児童移民で親から離された人々がマーガレットを守ります。

マーガレットは児童移民だった人々のあまりの悲しい生い立ちに共感しすぎて
PTSD(心的外傷後ストレス障害)まで発症しますが、それでもマーガレットは児童移民トラストを続けるのです。

特に過酷だったのはクリスチャン・ブラザーズというキリスト教団体のビンドゥーン施設でした。
神父たちは少年たちに施設建設の重労働をさせ、衣服も食べ物も十分に与えず、激しい暴力と性的虐待を加え続けます。
少年たちが大きくなると、神父たちは「ここまで育ててやったのでお前たちは借金を負っている。それを返せ」と金銭を要求したのです。

ビンドゥーンで育ったレンは大人になって成功して金持ちになりましたが
横柄で傍若無人で拝金主義の鼻持ちならない大人になっていました。

レンはマーガレットをビンドゥーンに連れて行きます。
何もない荒野に立つ美しい大きな建物。
その建物を建てたのは大工ではなく、虐待された子供たちです。
「俺は8歳の時、泣き方を忘れた」と語るレンも深い心の傷を抱えて生きているのです。

オーストラリア政府が児童移民に謝罪したのは2009年、イギリス政府が2010年でした。

児童移民だった人たちが訴える激しい喪失感。
自分を「無」と表現することしかできないなんて、とても悲しいことです。
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by hamhaha | 2012-07-18 05:57 | たわごと | Trackback | Comments(4)

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Commented by ろき at 2012-07-19 06:34 x
オーストラリアに囚人は送りこむは、先住民はいじめるわ、20世紀になってもこんなことをしていたんですね。
ビンボー人の子なんてどうなってもいいんですよね、おそろしい。
そして人間は必ずルーツをさがそうとしますね、分からないのは実に不安なんだと思います。
やっちまったことは変えられない、その後できるかぎりつぐないをしてほしいものです。
Commented by hamhaha at 2012-07-19 21:56
ろきさん、こんばんは。
そうそう、大英帝国、無茶します。
1970年までやってたんですって。
タスマニア・アボリジニをスポーツハンティングなどで絶滅させたのに
「労働力が足りない」「白人が足りない」で児童移民だなんて
人を人とも思ってないですね。

自分のルーツがわからないのは、とても不安なんですね。
再会できたシャーロットと母ヴェラは、「私たちは完全になった。何もかけていない」と誇らしげに言っていました。

マーガレットと児童移民に関係した各団体が面談したとき、
皆、自己保身に汲々としていました。
そこで「間違っていました、全面的に協力します」と言えばかっこよかったのに。
Commented by かの at 2015-01-16 23:53 x
ずいぶん前にご覧になったというドキュメンタリーとは、
「はるかなり我が英国」
という題名ではありませんでしたか?
NHKで’91年に放映されたものです。
映画館で、来年公開されるとう
「オレンジと太陽」
の宣伝ポスターを見た途端まざまざと思いだし
ビデオを引っ張り出して見直しました。
Commented by hamhaha at 2015-01-17 06:12
かのさん、おはようさんです。
随分昔のことで覚えていませんが、
そういえばNHKだったかもしれません。
随分ひどい話だと思ったことを覚えています。
わたくしも「オレンジと太陽」で思い出しました。
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