NHKについては、受信料の値段、徴収の仕方に問題があるとか、
スクランブル放送をすればいいとかいろいろ言われています。
わたくしはスクランブル放送になってもお金を払いますよ。
BBCのドラマやドキュメンタリーを放送してくれる限り。
BBC製作の「そして誰もいなくなった」(アガサ・クリスティ原作)がNHKで放映されていました。
3回のテレビシリーズです。
大昔に原作を読みましたが、覚えていないので、誰が犯人だったかしらと最後まで楽しめました。
以下、ネタバレバレです。
オーエン夫妻という謎の金持ちが、いろいろな理由をつけて8人の人物を「兵隊島」と言われる島に呼び寄せます。
兵隊島はオーエン夫妻の私有地なので、そこに行く手段はナラカットという人物の船だけです。
ナラカットは船で帰ってしまったので、
兵隊島には呼び寄せられた8人と、
オーエン夫妻に雇われて一週間前くらいに兵隊島に来た召使のロジャース夫妻の、合計10人だけになります。
なぜかオーエン夫妻はいません。
ゴージャスなお屋敷に集められた10人には何の接点もなく、誰もオーエン夫妻に会ったことがないのです。
夕食後、屋敷内放送されたレコードは、10人の罪状を告発するものでした。
10人とも、誰かの死にかかわっていたのです。
そして、孤島の中で、一人ずつ、死んでいきました。
ダイニングに飾られた10体の兵隊人形は一人死ぬごとに減っていきます。
そして、誰もいなくなった・・・・。
このテレビドラマでは、ヴェラ・クレイソーンに焦点を当てて描いています。
体育教師で、かつてシリルという少年の家庭教師でした。
シリルはヴェラが目を離したすきに海でおぼれて死んでしまったのです。
表向きはそういうことになっていますが、実は裏があります。
ヴェラはシリルの叔父のヒューゴと恋仲になっていたのです。
シリルの父が死んだとき、財産は弟のヒューゴが相続するはずでしたが、
シリルの母がシリルを妊娠していることがわかり、生まれたシリルにすべての財産が行くことになりました。
「高慢と偏見」とか「ダウントン・アビー」とかに、いやというほど出てくる限嗣相続というものですね。
大金持ちになるはずが、一文無しになってしまったヒューゴは、シリルたちを恨むことなく、家族として愛しています。
家柄と人柄はいいけれども、文無しのヒューゴと結婚したいヴェラは、シリルが死ぬように仕向けたのです。
シリルが死ねばヒューゴに莫大な財産がいくからです。
証拠はないけれども、ヴェラが大切な甥シリルを殺したことを察知したヒューゴは、ヴェラと別れます。
一人一人死んでいく極限状態の中、ヴェラはフィリップ・ロンパートと恋仲になりますが、
最後に二人だけ残ってしまったとき、恐怖のあまりにフィリップを銃で殺します。
一人だけ残ったヴェラは首つり自殺をしようとしていた時、真犯人が現れました。
あれ?、原作では 海に流したボトルの中の手紙で種明かしのはずだけれども(それは覚えている)
それじゃ映像にしにくいから真犯人が出てきたのね。
裁かれなかった悪を裁く、必殺シリーズのような設定だけれども、
実際裁判にかかると死刑になるかしらんと思う罪状もありますよ。
二人の子供を車でひき殺したマーストンは、殺すつもりもなく、別にそれを隠していたわけではなく、
一応裁かれていますし。(半年免停って軽すぎない?)
ブレント夫人は世話をしていた孤児の少女が男性問題を起こしたことに怒ってその少女を見捨てたのですが、
見捨てられた少女はどうにもならなくて自殺したのです。
当時の倫理観では、ブレント夫人でなくてもそういう反応はすると思うのですが。
フィリップもアフリカで現地人を21人殺したのですが、
白人以外を無差別に殺したイギリス人はたくさんいますよ。
タスマニア・アボリジニをスポーツ・ハンティングで全滅させたイギリス人はどうよ?
と、これは原作に対する疑問だけれども、
映像はとてもイギリスらしく、美しかったです。
でもね、シロクマの毛皮の敷物で遊ばないでほしかったわ。
シロクマの口の中に銃を隠したり、シロクマの敷物をかぶって殺人したり、やめて~。