「アンギャー!アンギャー!」
昨年テレビで「シン・ゴジラ」が放映されたのを録画しました。
面白くて、何度も見直しました。
東京湾に浮かぶ無人の船。
靴が揃えておいてあるところから、入水自殺したことを示唆しています。
アクアライン近くで地震があり、アクアラインにいた人々は徒歩で避難することになります。
SNSの時代ですから、ネットには避難の実況が多く投稿されます。
内閣はその対処を相談しますが、形式にとらわれていて、
「総理レクは先に結論ありきが規定路線」とか「(対策指示を)どこの役所に言っているんですか」とか
どうでもいいことにこだわります。
見ている方は「相手はゴジラだよ、そんなに悠長なことしている暇はないよ」とやきもきしますが
映画中の人々にはわかりません。
想定内の日常に落とし込もうとします。
やがて海中からしっぽが現れ、巨大未確認生物が川をさかのぼってきます。
政府はあわてます。
角付き合って小田原評定。なかなか議論が進みません。
自衛隊を出動させるにしても、どういう名目で出動させるかという
またもどうでもいいことに時間を費やします。
この会議のどうでもよさ加減がいかにも日本っぽくて、リアリティがありますね。
自衛隊出動は内閣にとって慎重にしなければならない案件です。
首相は意を決してゴジラを攻撃させることにしますが、
寸前で、手前に老人を背負った逃げ遅れた市民がいたので、攻撃を中止します。
自衛隊はどんなときにも国民を攻撃してはならないのです。
最初は形式にとらわれて右往左往していた政府ですが、
どんどん研ぎ澄まされてきてゴジラから日本を守るという目的に突き進んでいきます。
アメリカは 実はゴジラの存在を知っていました。
ゴジラ研究者の牧教授は、自分の出身地・大戸島の伝説の「呉爾羅」からこの未確認巨大生物に「ゴジラ」という名前を付けていたのです。
妻を放射性物質で失った牧教授は、ゴジラの研究をわざと不完全な形で残して失踪します。
冒頭で入水自殺をしたらしい人物はこの牧教授なのです。
ゴジラは生き延びた古代生物ですが、過去の各国の放射性物質の海洋投棄で
その放射能を体内に取り込むことで生き延びる生物に進化しました。
その情報を日本にもたらしたのは、アメリカ政府のカヨコ・アン・パターソン。
母方の祖母が広島で被爆した、日本人の血を引く女性。
パターソン家はアメリカ政界の名門。
ケネディ家のようなものかしら?
未確認巨大生物は東京で暴れまくり、東京湾に一度去りますが、またやってきます。
この間もどんどん進化していって体の大きさも形態も変わっていきます。
今回は自衛隊も容赦なくゴジラを攻撃しますが、
歯が立たないばかりか、ゴジラの発する熱線で壊滅状態になります。
首相や主要閣僚が乗ったヘリコプターも、ゴジラが無差別に発射した熱線にたまたまあたってしまって、あっさり撃ち落されてしまうのよ。
あっさり過ぎるわ。
ハリウッド映画ならアメリカ大統領は最後まで生きていて
最後に瓦礫を前に演説したりするのにね。
日本の首相の扱いはひどすぎるわねぇ。
ただ、ゴジラにとっては首相だろうがなんだろうが関係ないので、リアル感が増しますね。
あのかっこいい防衛大臣も一緒に命を落とします。
彼女だけでも残してほしかったわ。(個人の感想です)
主要閣僚が失われて、派閥の順送りで農政大臣になった里見氏が
たまたま外遊していて存命だったので首相代理になります。
だれも期待していない首相。
本人も最初は自信もなくてやる気もなかったのですが
最後はさすが首相と言う感じでかっこよかったわ。
立場が人を作るというのはこのことですね。
エネルギー切れで活動停止したゴジラが
再び放射能をため込んで活動するまで二週間ほどと算出され、
国連安保理はゴジラに核攻撃するを決議します。
いくら映画だと言っても、これはきついわ・・・。
「これがニューヨークであったとしても、国連安保理は同様の決議をするそうです」
うそつけ~!
東京都民は360万人もの人が違う地域に避難します。バスで船で自衛隊機で。
それでも、2/3以上の都民は東京に残っている計算よね。
西日本の土地は高騰します。
北海道にもおいでよ。北海道は日本の1/5もあるのよ~。
ゴジラの血液を凝固させることでゴジラを倒すことを考えた日本側。
日本中のこの凝固剤を作れるプラントにフル回転で作ってもらい、
国連安保理の核攻撃予定も遅らせるよう手を尽くします。
ゴジラの熱線を使い果たさせるために無人の攻撃機がバンバンゴジラを攻撃して
熱線の無駄遣いをさせます。
熱線が尽きたと思ったら、近くのビルを爆破してゴジラの上に倒壊させ、
ゴジラを横たわらせます。
ゴジラ攻撃に使われるのが電車。
まず無人新幹線爆弾がゴジラを攻撃し、
そのあとで無人在来線爆弾が攻撃するというシーンがありまして、
わざわざ電車を爆弾にする必要はないとは思うのですが
きっと鉄道オタクは喜んだろうなぁと思いましたよ。
倒れたゴジラに血液凝固剤を経口投与するときです。
コマツのホイールローダーが走って行ったわよ。
なにするのかしらね。
これもマニア向けかしらね。
ポンプ車も走って行ったわ。
ポンプ車の本来の使い方は生コンを遠くに打つものだけれども、
ゴジラに血液凝固剤を投入するのにつかわれていましたよ。
血液凝固剤を口から投与していましたがね、
血管注射しないと、血液凝固しないんじゃないの~?
などと、思いつつ見ていましたが、
めでたくゴジラは凝固しました。
要所要所で「ゴジラ」の音楽が使われているのがいいですね。
ゴジラを攻撃する場面で使われたゴジラの曲(マーチ)。
ああ、ゴジラだなぁとしみじみ思いました。
自衛隊に演奏してもらいたいわ~。
とにかく日本を助けるのだと一丸となっていく様子が素晴らしく、
お茶を淹れてくれるおばさんまで決意に満ちていてかっこよかったです。
ヤシオリ作戦ですって。
エヴァンゲリオンの「ヤシマ作戦」を思い出させるためのネーミングよね。
経済的損失とか、株価暴落とか
ゴジラのコントロール権とか、各国の思惑とか
ゴジラによる東京の放射能汚染とその除染など
いままでゴジラ映画で言及されなかったことも出てきてリアルですね。
モニュメントのように東京にそそり立つゴジラ。
日本はゴジラさえも取り込んで再建していくのか。
とても日本的な映画でした。
てとも面白うございました。
追記
書き忘れていたわ。
市川実日子氏が存在感があって最高でした。
「三度目の殺人」も「DESTINY 鎌倉ものがたり」もとても素敵です。