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SF小説 三体

懸賞 2019年 07月 29日 懸賞

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書店をブラブラしていましたら、SFマガジンが目に留まりました。
「三体」特集とのこと。
「三体」ってなんだろ。
中国のSF作家・劉慈欣(りゅう じきん)氏のSF小説で、
アジア人初めてのヒューゴー賞受賞者とか。
おお、ヒューゴー賞とネビュラ賞といえば、SF小説界の2大タイトル!
アジア人でも受賞できるのですねぇ。
わたくしも若いころはSF小説を夢中で読んだものだわ。

家に帰って、早速キンドルをポチ。
もちろん日本語版。
えっ、長い!
と、思いつつ読み始めましたが、面白い!読まさる!
以下、ネタバレですよ~。
これから読む人は見ないでね。
しかも長いよ~。



葉文潔(よう・ぶんけつ 女性)は、文化大革命時に目の前で物理学者の父を紅衛兵に殺されました。
文化大革命時は
いいお家に生まれた人とか、留学したことのある人とか、知識階級とかが
「資本主義的」と、非難され、辱められました。
ひどいときには死に追いやられたりしましたね。
わたくしが愛してやまない作家の老舎も文化大革命時に命を落としました。

その後、内モンゴル自治区で木の伐採の仕事をさせられていた(下放かな?)文潔は
「レーダー峰」と言われる近くの山の施設がおかしいことに気づきます。
いろいろ人に裏切られたりして絶望していた文潔は、レーダー峰の施設の仕事のオファーを引き受けます。
トップシークレットなので、レーダー峰に一生閉じ込められるかもしれないと承知のうえで。

40数年後、ナノマテリアルという物質の研究をしている汪淼(おう・よう 男性)は、稀代の物理学者・楊冬(よう・とう 女性)が自殺したことを知ります。「物理学は存在しない」という遺書を残して。
そのほかにも、何人もの物理学者が自殺しているのです。

そして、なぜか視界の中に何らかのカウントダウンが写り込むようになり、
中国系日本人物理学者の女性・申玉菲(しん・ぎょくひ)に相談すると「ナノマテリアルの研究をやめたほうがいい」とアドバイスされます。
ナノマテリアル研究を一時中断すると謎のカウントダウンは視界から消えました。

汪淼はVRスーツを着てゲームをする「三体」というオンラインゲームに行き当たります。
「三体」と言うゲームは一風変わっていて、世界は3つの太陽に支配されています。
3つの太陽の影響で、「乱紀」と「恒紀」という時期があり、「恒紀」というのは気候が安定していて穏やかに暮らせる時期なのですが、「乱紀」は、極寒だったり、灼熱だったりして、とても普通に暮らせるものではない時期です。あまりの過酷さに、文明が滅亡したりもします。
「乱紀」と「恒紀」がどういう周期でどのくらいの期間巡ってくるのかもわからず、「三体」の人々は、どうにかしてその周期を知りたいと思っています。
「乱紀」は過酷なので、「脱水」する人もいます。
自分の水分をすべて放出して骨までもペランペランになってコンパクトに畳んで持ち運べるようになることができるのです。生命活動は停止されます。
脱水した人々は「乾燥倉庫」に保存されます。そして、「恒紀」が来ると水分が与えられ、復活し、普通に生活出来るようになります。
ただ、道端などで不本意に「脱水」してしまった人は、食べられたり、焚きつけにされたりするのです。

キャラクターの名前がニュートンだの、秦の始皇帝だの、実在の人物で、面白いです。もちろん、行動は違いますが。
人間が脱水して生命活動を停止し、畳まさる(畳むことができる)のもユニーク。
過酷な環境で乾燥して、環境が良くなると復活するって、何かの生物にありますね。
「乱紀」の描写が迫力があって、好きです。

汪淼は楊冬の母、葉文潔と知り合います。
葉文潔がレーダー峰でやっていた仕事は、地球外生命体とのコンタクトを試みる「紅岸プロジェクト」でした。巨大なパラボラアンテナで電波を送り、電波を受け取ろうとする日々。
地球外生命体とのコンタクトは可能性が低いとわかり、そのうち「紅岸プロジェクト」は終了します。
レーダー峰で結婚し、夫を亡くし、母となった葉文潔。
文化大革命で失った名誉も回復され、母校の教授をしていましたが、定年退職をしていました。

申玉菲が殺され、夫の魏成も狙われています。

汪淼は「地球三体協会」の集会に招待されます。
表向きの総帥は葉文潔です。
葉文潔は「紅岸プロジェクト」で実は自分がひそかに地球外生命体とコンタクトを取ったことを明かしました。
太陽を使って電波を増幅させ、より強く遠くに電波を送ったのです。

それを受け取ったのはアルファ・ケンタウリの惑星「三体」。
ゲーム「三体」と同じく3つの太陽に苦しめられていて、もはや宇宙移民しかない状態でした。
電波を受け取った三体人の平和主義者は「応答するな! 座標を特定され、侵略されるぞ」と、警告しますが、地球の人類に絶望していた当時の葉文潔はそれを聞かずに応答し、三体人に地球の座標を特定されます。

葉文潔もさ、いくらいやなことがあったからって、地球の運命を勝手に決めるのもどうかしら。
父を殺した紅衛兵と変わらないわよ。

地球文明に絶望していてる地球人(おもに知識人)たちは、三体文明を地球に迎える事を目的とした「地球三体協会」を結成し、三体思想を広めるためにオンラインゲーム「三体」を作りました。
「地球三体協会」はたくさんの人々が参加していて一枚岩ではなく、「降臨派」「救済派」に分かれ、少数ながら「生存派」もいます。
ガチガチの「降臨派(三体文明で地球文明を滅ぼす派)」であるエヴァンスは三体星人とのその後のやりとりを外に漏らさず、葉文潔ですら、「降臨派」が握っている情報を知りません。
申玉菲が殺され、夫の魏成が狙われるのは「降臨派」の仕業です。

汪淼たちはナノマテリアルを利用してエヴァンスたちを殺し、三体星人の情報を得ます。

三体人は地球を侵略する艦隊を派遣していますが、地球に到達するには450年以上かかります。
地球人の文明の進化スピードを考えると、450年あれば地球人は三体人に対抗しうる科学力を身に着けてしまいます。
そこで、「智子」という陽子を先に地球に飛ばして、地球の科学を妨害し、停滞させることにします。
汪淼が見たカウントダウンは智子の仕業です。ナノマテリアルを発達させてほしくないのです。

地球は三体から「お前たちは虫けらだ」というメッセージを受けます。

汪淼たちは絶望します。智子に科学を殺されてしまったので。
それを見た警官の史強が汪淼たちを畑に連れて行きます。

「虫けら」であるイナゴが畑を荒らしています。
有史以来、人間は「虫けら」のイナゴを何とか駆除しようとしていますが、成功していません。
それを見た汪淼たちは「虫けら」ができることをやろうとします。


え~、ここで終わり~?
これからじゃない~。
でも、いや~、面白かった~。
こんなにわくわくしながら読み進めるのは、久しぶりです。
「ゲーム三体」がリアルでどしっとしていて面白いですね。

文化大革命を持ってくるあたり、重いですね。
人生を台無しにした人々がたくさんいたのですから。
まだ子供だった紅衛兵たちも、未熟だった自分たちの行いを一生背負うことになったのは残酷ですね。

「地球三体協会」の「生存派」は自分たちの子孫を生き延びさせる派で、
主に中国人が所属するというのは自嘲でしょうか。


これを翻訳するのはとても大変な作業だったと思います。3人がかりだったようです。
「三体Ⅱ」と「三体Ⅲ」もあるので、引き続き翻訳をしていることと思います。
早く読みたいです。日本語版「三体Ⅱ」は来年出版のようですね。来年と言っても、1月か12月かでは違いますよ~。

「三体」の中国語版は手に入りづらいですが、うっかり「三体Ⅱ」は手に入ったので
仕方ない、頑張って読むか・・・・。専門用語が難しいのよねぇ。

どうしよう。読まなくてはならない本が増えていく~。
とりあえず、SFマガジンの「三体特集」を買おうかしら。

by hamhaha | 2019-07-29 18:41 | チャイナ? | Trackback | Comments(0)

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